ギャンブルに賭けられたセイウチの牙
ギャンブルに賭けられたセイウチの牙
さて今回紹介する都市伝説は「ギャンブルに賭けられたセイウチの牙」についてです。
海外のギャンブラーたちの間に伝わっている、奇妙な都市伝説をご紹介したい。
ヨーロッパの北部ではいつからか、人間以外の何者かがギャンブルに興じるようになったという話がある。
その中でも、とっておきに不可解な都市伝説が存在する。
ある酒場では、連日お金を賭けたポーカーが行われていたというのだ。
この酒場でよくポーカーをしている男は、ひょんなことから見知らぬ顔をした男性と勝負をすることになる。
男は普段はあまり勝率も高くなかったが、男性との勝負では連戦連勝である。
あっという間に相手の所持金を根こそぎ総取りしてしまったのだ。
とうとうこの見知らぬ男性は困り果ててしまい、それでも諦めきれずにもう1度勝負を挑んだ。
そして返り討ちになった。
男性はもう渡す物がないと思われていたが、実は秘蔵の宝物を持ち込んでいた。
それは見るも見事なオスのセイウチの牙である。
ほぼ無傷で保管されていたものだと話し、これを男に渡すことにした。
男はその宝物には心の底から喜んで受け取ったというのだ。
さて、その勝負の後のことだ。
牙を手に男が夜道を歩いていると、海岸線に背を丸めた何者かの姿を確認した。
よくよく目を凝らすと、自分が散々痛めつけた男性が、トボトボと海に向かって歩いているのだ。
流石に「これはやり過ぎた! せめて牙だけでも返そう」と駆け出したところ、男性は見る間に大きくなり、やがて牙を1つ失ったセイウチとなって海に消えたということだ。
以降、この酒場では、セイウチの牙を持ち出す男性とは、可哀想だから勝負をしないという暗黙の了解があるということだ。